40代、秋の抜け毛はなぜ増える?|季節の変化と受診の目安

髪・頭皮設計

秋になると、シャンプーのときやブラシに残る髪が増えた気がする。

「秋だから仕方ない」と流していいのか。

それとも、薄毛が始まったのか。

抜け毛については、この両極端の受け止め方をよく見かけます。

私自身は、抜け毛はありますが、秋に特別増えたとはあまり感じていません。

ただ、以前から分け目が気になり、医師に相談して予防を続けています。

そのため、季節による変化を、自分の経験だけでは判断できません。

今回は、研究と皮膚科学会の資料で確かめました。

抜け毛の季節の波と、季節とは別に見ておきたい変化、相談を考えたいサインを整理します。

1.抜け毛には、季節の波がある

髪の生え替わりに季節による変化があることは、男性・女性の研究で報告されています。

研究対象調べたもの結果
英国(1991年)健康な男性14人を18か月抜けた毛の本数8〜9月に最も多く、1日平均約60本。前の冬の2倍以上[1]
フランス(1996年)男性10人を8〜14年休止期の毛の割合夏の終わり〜秋の初めに最も高い[2]
スイス(2009年)抜け毛を気にして受診した女性823人(6年分の診療記録)休止期の毛の割合夏に最も高く、冬の終わりに最も低い[3]

髪は、伸びる時期(成長期)を終えると、休む時期(休止期)に入り、やがて抜けます。

夏に休止期の毛が増え、それが秋の抜け毛として目立つ。

季節の波は、こうした毛の生え替わりの変化で説明できる可能性があります。

フランスの研究では、日照時間との関係も指摘されています。[2]

男性の研究は14人・10人と小規模です。一方、女性の研究は823人の診療記録を分析しています。

いずれも欧州で行われた研究で、フランスの研究は化粧品会社の研究者によるものです。

日本人でも同じような季節の変化が起きるかは、今回確認した資料だけでは判断できません。

ここから言えるのは、秋に抜け毛が増えたと感じても、それだけで異常とは限らない、というところまでです。

2.本数だけで判断しない

米国皮膚科学会(AAD)は、1日に50〜100本抜けるのは普通の範囲だと説明しています。[4]

英国の研究でも、季節のピークは1日平均約60本でした。

14人の平均なので、これを秋の正常値とすることはできません。

それでも、季節によって抜け毛の量が変わることは、実際に観察されています。

とはいえ、抜けた毛を毎日数えるのは現実的ではありません。

見るのは、本数より変化です。

  • いつもより明らかに多い状態が、ずっと続いていないか
  • 分け目や生え際、頭頂部の見え方が変わってきていないか
  • 頭皮に、かゆみや痛みなどがないか

分け目が気になる場合は、同じ場所・同じ明るさで、ときどき写真に残しておくのも一つの方法です。

毎日抜けた毛を数えるより、髪の見え方を振り返る材料になります。

明らかに抜けている場所や、頭皮の異常があるときは、記録をとるより先に受診を考えてください。

3.季節以外で、抜け毛が増えるとき

抜け毛は、体の大きな変化をきっかけに増えることもあります。

AADが挙げているきっかけは、次のようなものです。[4]

  • 大きな減量
  • 出産(女性の場合)
  • 強いストレス
  • 高い熱
  • 手術
  • ピルの中止(女性の場合)

抜け毛が増えたことに気づくのは、多くの場合、きっかけから数か月たってからです。[4]

原因となった体調の変化などが落ち着くと、自然に戻るケースもあります。

AADは、6〜9か月ほどで元のボリュームに戻る傾向があると説明しています。ストレスが続くと、長引くこともあります。[4]

抜け毛が増えたと感じたら、数か月前に何があったかを振り返ってみる。

それだけで、理由が見えてくることがあります。

4.季節とは別に、少しずつ進む薄毛もある

季節や体調の変化で一時的に増える抜け毛とは別に、少しずつ進む薄毛もあります。

日本皮膚科学会のガイドラインによると、男性型・女性型脱毛症は、毛の成長期が短くなり、髪が少しずつ細く短くなっていくものです。

一時的な抜け毛とは違い、薄毛の目立ち方に一定の特徴があります。[5]

この点は男女で共通していますが、女性では男性ホルモンだけでは説明できない場合もあるとされています。目立つ場所や年代にも、違いがあります。[5]

男性女性
目立ちやすい場所額の生え際の後退、頭頂部[5][6]頭頂部の広い範囲。分け目が広がる[5][6][7]
年代日本人男性では20代後半〜30代に目立ち始め、40代以降にかけて進む[5]多くは40〜60代に始まる[7]。更年期に多い[5]

季節の波は、季節とともに上下するもの。

こちらは、季節に関係なく、見え方が少しずつ変わっていくものです。

なお、一時的な抜け毛と、少しずつ進む薄毛が、同時に起きていることもあります。[4]

5.相談を考えたいサイン

次のような変化があるときは、季節のせいと決めつけず、皮膚科で相談してください。

  • 急に、円形やだ円形に抜けた[8]
  • 分け目や生え際、頭頂部の変化が進んでいる[6][7]
  • 頭皮に、かゆみ、痛み、ヒリヒリ感、小さなブツブツがある[8][9]
  • 抜け毛が多い状態が続いていて、理由が思い当たらない、または不安が強い

抜け毛には、自然に戻るものもあれば、治療が必要なものもあります。

AADは、皮膚科医なら原因を見極めて、これからの見通しを伝えられること、そして治療は早く始めるほど見通しがよいことを説明しています。[4]

頭皮の症状を伴うタイプの中には、治療しないと広がりやすいものもあります。[9]

日本皮膚科学会のガイドラインでも、女性の薄毛では、甲状腺の病気や貧血、急なダイエット、薬などによる脱毛を見分けることが大切だとされています。[5]

どんな検査が必要かは、症状を見て医師が判断します。

私自身は、すごく抜けたわけではありませんが、分け目がなんとなく気になり始めたころに、自分で調べ、オンラインで医師に相談しました。

今も、処方してもらった薬で予防を続けていて、早めに動いたことに後悔はありません。

ひとりで悩み続けるくらいなら、相談してよかったと感じています。

もちろん、薬には副作用や向き不向きもあります。

だからこそ、インターネットの情報だけで判断せず、医師に確認したうえで、自分に合う方法を考えることが大切だと思います。

AADも、女性型脱毛症の治療は、最初のサインで始めるほど良い結果が得られると説明しています。[7]

秋の抜け毛・チェックリスト

□ 夏の終わりから秋にかけて増えた?

□ 数か月前に体調変化や強いストレスはあった?

□ 分け目・生え際・頭頂部に変化はある?

□ 急に円形などに抜けた場所はある?

□ 頭皮にかゆみ・痛み・ブツブツはある?

□ 不安な状態が続いていない?

まとめ

秋に抜け毛が増えたと感じるのは、季節の波で説明できる場合があります。

季節の変化を知ることは、安心材料の一つになります。

でも、それだけですべてを説明できるわけではありません。

大切なのは、本数だけでなく、自分の髪に起きている変化を見ること。

気になる変化があるときは、季節のせいと決めつけず、早めに皮膚科で相談してください。

参考資料

  1. Randall VA, Ebling FJ. Seasonal changes in human hair growth. British Journal of Dermatology. 1991;124(2):146–151.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2003996/
  2. Courtois M, Loussouarn G, Hourseau S, Grollier JF. Periodicity in the growth and shedding of hair. British Journal of Dermatology. 1996;134(1):47–54.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8745886/
  3. Kunz M, Seifert B, Trüeb RM. Seasonality of hair shedding in healthy women complaining of hair loss. Dermatology. 2009;219(2):105–110.
    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19407435/
  4. American Academy of Dermatology. Do you have hair loss or hair shedding?
    https://www.aad.org/public/diseases/hair-loss/insider/shedding
  5. 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
    https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/AGA_GL2017.pdf
  6. American Academy of Dermatology. Hair loss: Who gets and causes.
    https://www.aad.org/public/diseases/hair-loss/causes/18-causes
  7. American Academy of Dermatology. Thinning hair and hair loss: Could it be female pattern hair loss?
    https://www.aad.org/public/diseases/hair-loss/types/female-pattern
  8. American Academy of Dermatology. Hair loss types: Alopecia areata signs and symptoms.
    https://www.aad.org/public/diseases/hair-loss/types/alopecia/symptoms
  9. American Academy of Dermatology. Hair loss types: Frontal fibrosing alopecia signs and symptoms.
    https://www.aad.org/public/diseases/hair-loss/types/frontal-fibrosing-alopecia/symptoms

資料確認日:2026年10月17日

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